1. 人工地盤の植栽では、客土厚と耐荷重、排水と散水設備、風害に対する樹木の支柱、防水の処理などを充分に考慮して検討する。
2. 客土の厚さは散水設備があるものとして、芝などの地被植物では15cm以上、ツツジなどの低木類で30cm以上、 中木で40cm以上、4m前後の高木で最低60cm以上必要である。
また、支柱の根入深度も考慮する必要がある。
3. いずれの場合も、排水層は10-20 cmの厚さが必要である。
4. 客土材料の重量、土は通常1,600kg/m3、パーライトなどの無機質系土壌改良剤は、乾燥時で100-150kg/m3、飽水時で200-300kg/m3の重さである。
5. 客土の軽量化および土壌改良(通気性、保水性、保肥性の確保)として一般的に、客土には20-30%の無機質系の土壌改良剤を混入、必要に応じて10%程度の バーク堆肥等を混入する。
6. または、バーク堆肥等の代わりに無機質のミネロックやイソライトCGなどを混入して保水を高める。
7. 排水層には大粒の無機質系の土壌改良剤を使用する。
8. スラブの耐荷重は、植栽の積載荷重として3.5m前後の高木で1.0t/m2前後 で、1.5m前後の中木で500kg/m2前後必要である。
(バルコニー、ベランダは通常170kg/m2で、屋上では通常350kg/m2程度である)
または、特殊超軽量人工土壌を使用する。
9. 樹木の重さは、地下部は土より軽いので客土と同じとみなし、地上部は樹高4mで 目通り30cmのもので、だいたい50kg程度である 大きくなると4総以上となるので、大きなものは荷重を考慮する必要がある
樹木規格:Hは樹高/Cは目通り | 根鉢を含んだ重量 |
H:50cm | 3kg |
H:1.0m | 12kg |
H:2.0m | 30kg |
C:15cm | 70kg |
C:20cm | 120kg |
C:25cm | 200kg |
C:30cm | 250kg |
C:40cm | 450kg |
C:60cm | 800kg |
C:80cm | 1100kg |
10. 植栽地の表面は、芝やヘデラ、タマリュウなどの地被植物か、サツキなどの低木類を植栽するか、バークチップなどを敷き、乾燥や雨による浸食を防ぐマルチングを行なう
11. 根による防水層破壊を防ぐために、植毛貫通防止剤として、ポリエチレンビニールシート厚さ0.4mmを、排水層の下か防水層の保護モルタルの上に付設する。
12. 排水勾配は基本的には、コンクリートスラブで付けるようにする。
最低1%以上の勾配をつける。
できれば2%はつけたい。
排水溝では0.5%以上の勾配をつける。
13. 排水層の厚さは15cmを標準とし、水下には合成樹脂透水管(径100-150)を設置し、排水桝に接続する。
植栽地が広い場合は、浸水管を5m間隔を基準として設置し、すみやかに余分な水が排水されるようにして根腐れを起こさないようにする。
14. 散水設備としては、地表灌水方式による散水(穴あき散水ホースによる機械的な点滴散水・ドリップ方式)と一般的な散水栓の両方設置が望ましい。
芝生などで広い場合はスプリンクラーが使用される。
15. 穴あき散水ホースは、1.2m前後の間隔で木の根元に設置するのが望ましい。
またタイマー方式にすると便利である。
16. 風の害を受けやすいので支柱は長期間必要である。
景観の点からワイヤー支柱がよく使用される。
防水層に気をつけて、パラペット部分やシリンダーコンクリート部分にフック等を入れ、ワイヤー支持する方法等がある。
材料 | 乾燥時(kg/m3) | 湿潤時(kg/m3) |
土(畑土) | 1,300前後 | 1,800前後 |
砂利、砂 | 1,700〃 | 2,100〃 |
火山砂利(軽石) | 800〃 | 1,400〃 |
黒燿石系パーライト | 100〃 | 240〃 |
真珠岩系パーライト | 120〃 | 400〃 |
ピートモス | 100〃 | 500〃 |
特殊超軽量人工土壌 | 300〃 | 600〃 |
1. 根が横に伸長できるように、植栽地はできるだけコンクリートの擁壁などで区切らず、地下部で連続していることが望ましい。
2. 園路や通路なども下部に根が伸長できるように土にするのが望ましい。
3. 斜面では、勾配が2割(約25度)以上の場合は、コンクリートなどで土留めを行なう必要がある。
その際、水抜き穴を忘れないこと。
4. 風の影響が考えられる植栽地は群植とし、高中木では1-2年で葉が触れ合う程度の密度で布掛支柱が可能な2-4m間隔以下にする。
灌木は密植する。
また、形状は樹高3m前後とし、大きな樹木は株立物にすると風の影響は少ない。
5. 風害がかなりあることが予想される場合は、防風ネットなどを設置する必要がある。
また、樹種も耐風性、耐乾性などに強い樹木で、樹高2-3mの中高木を、千鳥に 1.5-2m間隔に3列に植えて風害を防ぐ。
1. ルーフスラブなどに必ず排水勾配をつける。
スラブで勾配をつけることが望ましい。
勾配は最低1%以上、できれば2%とする。
排水溝では0.5%以上とする。
2. 排水層の厚さは10-15cmを標準とし、客土の厚さに応じたものとする。
3. 排水層の材料は、多孔質で通気性のあるパーライトなどの無機質系の土壌改良剤の大粒(4-25mm)のもので目詰まりを起こしにくい材料を使用する。
排水層の下には、合成樹脂透水管(径100-150mm)などを設置し、排水桝等に接続する。
4. 植栽地が広い場合は、透水管を5m間隔を基準として筋状に付設し、集水することが望ましい。
5. 植栽地内のドレーンバイプなどは、埋めることなく桝を設け、できるかぎり土などが入らず管理の容易なものとする。
できれば排水桝を設置し、中に泥溜を設けて流すことが望ましい。
1. 散水方法
1. 散水ホースで散水栓からの人力による散水。狭い場所に適する
2. 地中散水方式には定時式と定水位式がある
a. 定時式 ・・・タイマーなどにより一定の時間に地中に埋設した多孔管から散水する方式。
b. 定水位式・・・つねに一定水位に水を停滞させておき毛管現象により水を上昇させて散水する方法で、雨量が少ない西ヨーロッパの屋上庭園などで「オプティマシステム《として普及している。
3. 地表散水方式とは、地表面に細かい穴の開いた散水ホースを敷設し散水する方法。
タイマーを設置し自動的に行なうと便利である。
ドリップ方式とかトリクル方式ともいう。
スプリンクラーなどに比べて建設コストが安く、散水のムラが少なく省資源タイプである。
4. 地上散水方式とは、スプリンクラー方式のこと。広い芝生地に適する。
2. 人工地盤では散水設備は必要上可欠で、ドリップ方式と散水栓の両方の設置が望ましく、散水栓は掃除などにも利用できる
3. ドリップ方式の散水ホースは1.5m前後の間隔で設置することが望ましい。
高中木 |
低木 |
グランドカバー |