芝生のお話

「緑のカーペットのような芝生のある庭」というものに
あこがれてを抱いている人は多いとおもいます。

芝生という植物はイネ科の多年草で常緑、落葉などがあります。
日本にはノシバというシバが自生していますが、ノシバは葉が多少粗いので
絨毯のような状態をつくるのは難しいと思います。
一般的にはコウライシバ(姫コウライシバ)などが使われることが多いのですが、
これらは落葉なので冬は地上部が枯れてしまいます。

冬も青々とした緑の芝生にこだわるとすれば西洋シバという選択肢もあります。
西洋シバの基本は牧草です。
わが国でもっともよく利用されている西洋シバはおそらく道路工事などで出来る土手
(正式には法面"のりめん"といいます。)
が崩れないように表面に西洋シバの種子を吹き付ける時に使用されるものだと思われます。
これに使用される西洋シバは冬場の火災や表土の流出などの危険をさけるため
常緑性で、強靱かつ成長が早く、葉の長いものが選ばれます。

またゴルフ場のグリーンなどにも多様されていますが、こちらはグリーンで使用するために
葉は緻密で短く刈り込めるものが使用されています。
通常、庭で使用される芝は、ゴルフ場のグリーンにちかいイメージでしょうから、
この常緑でカーペットの様に緻密で短くできるものに人気があります。
具体的にはベントグラス等ですがこれらのタイプは日本の夏の高温多湿には
不向きなものが多く、病虫害の被害を受けやすく管理に手間がかかるのが難点です。
その点、コウライシバは冬枯れさえ我慢すれば比較的扱いやすいタイプです。
また関東以西であればセントオーガスチングラスはお勧めの品種です。
夏芝ですが葉が柔らかく雑草にも強くまた耐陰性もあります。


芝の種類

寒地型芝(常緑タイプ)

ベントグラス ゴルフ場のグリーンなどにつかわれるが、高温多湿に弱く一般芝生用としては
北海道をのぞきほとんど利用されていない。
4mmほどの超低刈込も可能だが
一度長くしてしまうと短く刈り込むのが困難であり
低刈を維持するには厳格な管理が要求される。
ケンタッキーブルーグラス草丈30-60cm。 代表的な牧草で芝生としての利用を多く
アメリカではもっとも多く植栽される
青みがかった葉色が特徴
地下茎を持っているが裸地の回復力はコウライシバより劣る。
陽光、水、肥料を多く必要とする。
葉の成長量はトールフェスク、ペレニアルライグラスの半分
播種から発芽まで2週間ほど
ペレニアルライグラス草丈50-70cm。 播種から発芽まで5日ほど
10日で緑に覆われる 初期成育の早さが特徴
冬の葉色がきれいなのでオーバーシーディングとして利用される
ちなみにサッカー場などでグランドにストライプの模様ができるのは
ペレニアルライグラスの葉裏につやがあり
芝刈機の刈る方向により葉が倒れて裏が目立つようになるため
トールフェスク 芝質は荒いが耐暑性、耐寒性、耐干ばつ性が強くやせ地で生育できる日陰地にもつよい。

暖地型芝(落葉タイプ)

ノシバ強靭で粗く、草丈も15cm程度になる
コウライシバ最も一般的な芝。高温、干ばつに強いので
日照りが続かないかぎり散水の必要はない。
土壌適応力、耐潮性、耐病害性も強く肥料も少量、植付時期もあまり選ばない
また茎の伸びが西洋芝より遅く最も成長する時期でも一日1.5mm程度。 暖地であれば総合評価はNo1。
刈り高も5mm程度まで低くできるがこの場合毎日芝刈が必要になる。
ヒメコウライ小型のコウライシバ
ビロードシバ茎や葉が繊細でビロードを敷いたように密度の濃い芝面をつくる
暖地の庭園などに小規模に利用される程度
バミューダグラス ティフトンシバが代表品種
生育は非常に旺盛で葉はコウライシバより細かく柔らかい。
種子はなく利用はストロン(ほふく茎)となる

ティフトン419などの商品がありオーバーシーディング用の夏芝としてベスト。
セントオーガスチングラス 葉は大きいが柔らかい。
雑草に強く、耐陰性もある
南方性の芝であるが関東以南で利用可能
ウィーピングラブグラス草丈70-90cm。高温、乾燥に強い


芝生品種特性リスト


雪印種苗資料より

データダウンロード
上記特性表のデータがダウンロードできます。(形式:xls,csv)


[1]場所選び
芝生は一般的に日当たりを好みます。ですから日当たりが悪い場所では良好な生育は望めませんし、
一日中、日がほとんどあたらないような場所では枯れてしまいます。
このような場合は他のグランドカバーを検討してください。(タマリュウなど)
また水引が悪く、雨の降った後何日も水が残るような場所ですと根腐れになり、枯れてしまいます。
水が溜まらないように排水設備を設けたり、土壌改良などの処置が必要となります。

[2]まず土をつくる
深さ30cm位を開墾して根や、雑草、石などを取り除きます。
特に、ササ、クズ、アシ等の雑草の根は芝生管理上やっかいなのでこの時に徹底して取り除きます。
土が酸性(PH5.5以下)の場合は100g/m2程度の消石灰、炭酸カルシウムなどを散布して中和させます。
水はけが悪い場合はまず表面排水をしっかりとるようにします。
そのためには表面の凸凹がないように土を平らにしてかつ表面の排水勾配をしっかりとるようにします。
またスリッドドレーンにより雨が浸透しやすいようにします。
これは幅3cm程度、深さ15cm程度の溝を25cm間隔で堀りそこに豆砂利、小石などを充填して
端部を排水施設に繋げる方法です。
広場、グランドなどの踏圧に対して抵抗力のある芝を育成するためには土つくりは特に重要です。
その場合はなるべく踏み固められにくい土壌と根を深くまで繁茂させるために
厚さ20cm以上に粗目で粒の揃っている川砂を敷きこみピートモスやゼオライト、
バーミキュライト、パーライトなどを砂に対してトータル10〜20%(体積比)程度混入します。
また肥料として、堆肥1.5kg/m2、化成肥料100g/m2を加えます。

[3]芝を植える3つの方法
A)張芝
コウライ芝などの切り芝[長方形(15*30cm位)に切った状態の芝]
を張って植付ける方法で、ベタ張、目地張り、互の目張、市松張、筋張などの種類があります。
また最近ではロール状に巻いた芝を敷き均す方法もあります。
平らに張ったあとは、良質な土をふるって用意した目土を芝の葉が半分くらい
かくれる程度にかけます。また均し板で目地の窪み部分に漉き込みます。

B)植芝
バミューダグラスやベントグラス類で匍匐茎をばらばらにほぐして浅い溝に植える方法です。
床土に約20cmピッチに4cm位の溝を掘り、その溝に10cm程の切った匍匐茎を5cm間隔で
葉が半分くらい地上にでる様に植え付けます。
植付け後は1週間程十分水やりをしてください。

C)播種
ベントグラス類、ライグラス類、ノシバなどの種子を播種して芝生を造成する方法です。
床土の表面に均一に種子を蒔きます。大雨で流失しないように養生し、発芽後は徹底した
雑草の除草を行う必要があります。

また混播という方法もあります。これは数種類の芝の種を混ぜて播く方法で
寒地型の芝でよく行われます
単一品種にくらべ均一性は劣りますが病虫害や環境などの影響による被害の危険を分散し適応力をあげることができます。
ケンタッキーブルーグラス、ペレニアルライグラス、トールフェスクなどの組み合わせがよく利用されます。

[4]芝生を育てる
コウライシバ
芝張後、1ヶ月ごとに数回化成肥料40g/m2を追肥します。
5cm位のびたら3cm位に刈込み、除草、刈込、目土、追肥などを必要に応じて行います。

バミューダグラス類
1ヶ月ごとに2cm前後の高さに刈込み、目土を1cm位いれて浮いているランナーに土をかけてやります。

ベントグラス類
植付け後は乾燥に注意し、活着後は1ヶ月ごとに数回化成肥料40g/m2を追肥します。
繁茂したら2cm以下に強く刈込み、除草、目土、追肥などを必要に応じて行います。
夏に円形脱毛症のようなブラウンパッチという病気にかかりやすいので注意が必要で、
多湿にならないよう10日に1回ぐらい刈り込む必要があります。

ウインターオーバーシード
数種類の品種を利用して1年中緑の芝生をキープする方法で、基本的に以下の2通りがあります。
[冬季利用型]
秋に寒地型の芝の種を夏芝のベースの上に播種し、冬の間は寒地型の芝を利用します。
夏にはもとの夏芝に戻します。
寒地型の芝にはアニュアルライグラス、ペレニアルライグラスで耐暑性の弱い品種を使うのが一般的です。
この場合、毎年秋に播種、春に夏芝への移行の作業が必要です。

[通年利用型]
主に暖地で利用される方法で夏芝のベースに寒地型の芝を播種しますが、
冬だけではなく通年利用し、寒地型の芝に切り替えていくものです。
寒地型の芝を少しずつ暖地にならしていくため耐暑性の強いケンタッキーブルーグラス、
トールフェスク、ペレニアルライグラス等の品種を利用します。

[5]芝生の管理と刈高について
芝生といってもゴルフ場のグリーンやJリーグのグランドのように高度な管理を必要なものから
ある程度管理された公園の芝生広場、家庭の芝庭
また最小管理で多少の自然植生を取りこんだ原っぱのような広場までさまざまなタイプのものがあります
ゴルフ、Jリーググランドなどは最高のプレーが出来るように芝生の刈高、均一性、水はけなどが最優先されます
一般的に芝生は刈高を低くすればそれだけ管理が必要になります
ゴルフのグリーンに利用されるベントグラスの通常の草高は20−40cmですが
これを3mm前後まで短く刈りこんでいます。短く刈りこむことにより芝生は光合成をする葉量が減り、
抵抗力を失い病気や虫害の被害を受けやすくなります。また裸地が目立つようになり他の植物が入り込みやすくなります
そのために薬剤散布、除草などが頻繁に必要になります。
特に夏の高温多湿は苦手ですので低く刈り込まれ、抵抗力を失った芝は大きなダメージを受けてしまいます
逆に適正な草高まで伸ばしてあげれば管理は飛躍的に低減されます
法面工事に使用される西洋シバは常緑性で、強靱かつ成長が早いという前述しました。
であればこれらに利用している芝を芝生広場に利用すればよいと思いますが(実際利用されています)
これらの芝も短く刈り込んでしまえば抵抗力を失い頻繁に管理をしなくては枯れてしまうのです。
庭の芝生も刈り高を高め(3〜4cm)にすれば管理は楽になります
芝生は生長点が低い場所にあるので低い刈り込みに耐えます
しかし耐える高さと適切な高さは違います。耐える高さはサポート(管理)されるのが前提ということです
ようするに芝生の管理は刈高とのバランスです。刈高を低くし、美しくしいが頻繁な管理にするのか
多少粗く見えても刈高を高くして管理を低減するかです。

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